2019.2.1

スーパーOJクラシックシリーズ
国鉄 ED19 
ED19飯田線末期仕様による
1,2,3,4,6号機

只今発売中
本体予定価格470,000円
2,6号機のみ本体価格475,000円

 

当店のOJシリーズ、最初に立ち返り国鉄制式蒸気機関車シリーズのC56やC12のようにOJスケールながら比較的扱い易く又魅力的なプロトタイプは無いものかと考えていました。そしてOJ量産製品としてここ10数年程、デッキ付の電気機関車の発売が全く無い事に気が付きました。ましてやデッキ付の電気機関車こそ蒸機同様このスケールで作る価値が最も発揮される分野です。
当店では16番で輸入電気機関車モデルを英デッカーのED13,17,18,50,51,52,EF50。スイスBBCのED12,54。ドイツ・シーメンスのED57と製作して参りました。国産省形電気機関車についてもED16,EF10,11,53,55,56,57と発売しています。そして輸入電関として引き続きアメリカ、ウェスチングハウス~ボールドウィンのED19/53に取り組もうと考え2009年にED19 1号機の取材を長野県箕輪町で行っています。その事が今回のOJスケールでの製品化に繋がりました。2015年そのED19のデータを使って晩年飯田線で活躍していた姿を5号機を除いた1,2,3,4,6各号機をOJスケールで製作しようという事になりました。そして一部データの不足分を補う為、又製造担当メーカーのリアルテック金社長にも現車を観察して必要なデータを直接取ってもらおうと訪日してもらい2日間取材を行いました。先ず取材を行った1号機の図面を数回の改訂を行い作成、それを基に1年後の2016年10月サンプルモデルが細部の一部作り込みを除き、全体のプロポーションはほぼ完璧と云って良い仕上がり具合で出来上がってきました。数十カ所の修正を加え、更に2,3,4,6(5号機もついでに)号機の図面を作成。それから2年と3か月、ようやくOJ ED19の発売を迎えることが実現致しました。当店の場合OJで機関車を製品化するのには長い時間が必要でとにかく忍耐力がないと完成までもって行けませんがそれはメーカーも同様です。当店のOJ製品はアナクロニズムの極地と云えましょう。この手の車輌をOJで製作する場合、OJならではの仕掛けを組み込む事は必須条件だと考えます。ワイヤーカットした台車フレームに埋め込みボルトを含めてディテール等を取り付け実機同様イコライザーはリーフスプリングやコイルスプリングも含め全て可動式としています。但し先台車に関しては軸重バランス上、より動輪に荷重を掛け牽引力を引き出す為にイコライザーを掛ける事はしていません。機関車本体はウエイトを積まない状態で程よい重量となっておりイコライジングを良く効かせた事によりかなり強力な牽引力があります。動力機構はメーカーサイドでは一軸一モーター方式の釣り掛け駆動式を希望して来ましたが価格上昇を防ぐ為と飯田線における実機の走行を再現する為低速運転の再現性を重視、ファウルハーベル製両軸コアレスモーターからフライホイールを介しギヤーボックスを可動させる一般的な方式としました。ギヤーボックスはフライス加工削り出し、ウォームを使用しない方式で材質は全て金属製(鉄と真鍮の組み合わせ)、コースティングドライブとなっています。PS14,PS15パンタグラフは近い将来のEF15等にも使用する事もあり実物組み立て図面を基に細かな作り込みを行っていますがステンレス線を使用、かなりしっかりした出来でその気になれば架線集電に十分耐える強度を備えています。畳んだ状態、上昇した時の姿かたちも秀逸です。車体については実機を観察した時の印象を的確に再現する事に腐心いたしました。各国より輸入された電気機関車はそれぞれのお国柄による、そしてメーカーとしての特徴があります。当店ではこれまで製品を作ってきた上での経験から多くの事を学んできました。アメリカ生まれのED19は電気部分をウェスチングハウス、機械部分をボールドウィンが受け持っています。このコンビの形態的特徴が端的に表われているのが車体断面形状とその前面になります。大屋根、小屋根のR、微妙な隅柱のR、柔らかく張り出した庇形状。ED53/19のメーカーオリジナル図面は戦災で消えたのか判りませんが今までのところ存在しません。そのため延べ4日に及ぶ現地検分により徹底的な採寸を行い万全を期した成果が製品に表れています。実感的なリベットの表現、側ベンチレーターの外周の枠や屋根部外周への別パーツの半田付。窓枠のスケールに則った車体側面からの絶妙な奥行き感等々、適度な凹凸感が心地よい陰影を与えています。ED19は6輌全て長い時間の経過と共にそれぞれ改造による形態のバラエティーが生まれています。車体から屋上、正面窓、サイドベンチレータ、下廻りの配管、ジスコンバー、砂箱等々晩年の蒸気機関車と同じく1輌1輌がそれぞれ個性豊かに変化しています。当店の常として徹底的な作り分け、作り込みを行っていますが例えば車体のリベットの位置とその有無まで完全に作り分けを行ないました。屋上取り外し屋根の立体感やリベットの表現もこのスケールならでは、更に6輌全て異なる屋上取り外し屋根の補強の為のアングルの取付け位置、避雷器の取付け位置とその配線も正確に再現、ヘッドライトの微妙な取付け位置の違いまで神経をつかいました。ED19のデッキとエンビームの入り組んだ複雑なディテール表現もOJスケールの大きさ由一切の手抜きは行えない所です。緻密な採寸と多くの写真撮影を基に作図の上見事に再現していますがゴテゴテ感は全く有りません。床下廻りのディテール表現もメカニカルな台車と車体の間にありその二つを繋ぐ重要な役割が有ります。しかし小カーブを切らさなければいけない模型の事、作り込みを行いながらもその点には十分留意しなければなりません。一応最小通過半径1200MMとしています。ここでの一番大きな部品エアータンクはサンプルモデルのロストワックスパーツより組み立てに手間ひまのかかる挽物パーツに変更、その効果は絶大で下廻りを大いに引き締めてくれています。そしてそのエアー配管、電線管、ジスコンバーと細部ディテールの号機による変化も含めて完全に再現いたしました。運転室内のインテリアも運転台、助手席側共にこれまでにない作り込みを行いました。1,2エンドで異なる背面の計器類も完全に再現しています。最後の難関は塗色のブドウ色2号の色味と艶具合のコントロールでED19のモデルに品格を与える大変重要なポイントです。塗装工場に足を運びリアルテック金社長共ども意見の調整を行い希望の色調を再現致しました。茶色ではない正にブドウ色が上品で深みのある艶具合でモデルに立体感と陰影を与えています。ランニングボードは実機が防腐剤を塗った木製と云う事で濃い焦げ茶色にしています。

 


<1号機と6号機>

ED19の1号機が大切に保存されていたお蔭で今回正確にかつ、美しく製品化する事ができました。

この機関車らしい重心が低くコンパクトな印象を再現する事ができました。

実機検分、採寸を行った結果が車体断面やひさしの形状に反映されました。

木製ランニングボードは微細なエッチングパターンで木目を入れ防腐剤を散布した感じを出すため黒に近い艶消しの濃いごげちゃで再現しています。

6号機のオリジナル形状のベンチレーターの再現にメーカーのリアルテック社が非常に苦労した部分です。





実物同様にベンチレーターがシースルーになっているのが分かります。プレスの金型を一つ壊しロストワックスの原型を一つ作り最後にこの形で落ち着きました。



1、2、3号機の改造による省型ベンチレーター。


6号機は正面が改造により小窓化されましたが側面ベンチレーターはウエスチングハウス/ボールドウィンの原型を保っています。

機械室の窓枠や窓ガラスのの奥行感にも大変拘った部分です。


<各号機公式写真>
1号機






2号機





3号機





4号機





6号機





 


<各号機サイドビュー>
ヘッドライトの取付位置、ジスコンバーや配管の差異、台車の砂箱の形状の違いと取付位置、オイルポンプの有無等々。


















 


<各号機フロント>
正面窓の違い、ドア形状の違い、ステップ位置の違い、リベットの違い、ワイパー取付位置の違い、ナンバープレート取付位置の違い、デッキ状のフックの位置の違い等々。

1号機は保存機同様にチェーンを取り付けています。エンドビーム肉抜きの穴が一つ塞がれています。

正面窓廻りに縁が付いています。

エアホースが少し高い位置に固定されています。




<パンタグラフ>
PS15



PS15パンタグラフをここまで追い込んで作ったものは今までありませんでした。

PS14



PS14パンタグラフも同様に徹底的な作り込みを行っています。違い将来のEF15にも流用するために・・・・・。最初架線集電も可能な設計であったのでパンタがそのままでは上がり切ってしまい、形態的に宜しくないのでバランスの良いところまで下げました。非常に堅牢でかつ精巧な作りのパンタグラフです。

手前の1号機のみ屋上のガーランドベンチレーターの形状が異なります。

パンタグラフが畳まれた状態の形にも拘りました。かなりメーカーが苦労した部分です。


ED19を作る上でどこが一番大変だったかという問いにパンタグラフという回答でした。


<各号機屋根上>
屋上取り外し屋根の補強の位置、避雷器とその配線及びベンチレーターの取付位置各号機で全て異なります。

この写真がEF56,57同様、これからのED19の模型の一つの指針となります。当店の本領がまさに発揮される部分です。









<キャブインテリア>
神は細部に宿る。模型を作るという事はその細部の集合体と考えていいでしょう。外からは見えにくい部分もしっかりと作り込む事でより全体を高い次元へと引き上げてくれます。



雨樋や水切の取付等非常に丁寧な仕事振りがご理解頂けると思います。

 


<4号機非公式側サイドビュー>

















<下廻り>











<デッキ周辺>



2号機のみテールライトが電車用になっています。

3号機の特徴としてテールライト下に補助のフックが付いています。


左の6号機は5号機と共に原型のステップを残しています。右の3号機は1,2,4号機と共に仙山線において冬季、スノウプロウを付けた関係でステップが改造されています。



<ED19飯田線風景イメージ>

ED19に貨車2~3輌で充分な完結感を得る事ができます。OJスケールとして小スペースでの運転が可能です。





EDクラスの機関車とは云え大型蒸気C59、C62の機関車本体に匹敵する大きさとボリュームを持っています。

価格面では先に発売したC62同様のバーゲンプライス設定です。今後OJスケールで機関車モデルを発売していく事は益々難しくなっていく事でしょう。この形式が最後とならないよう努力していきます。