2011.12.21

国鉄制式蒸機C57とC59。2つのパシフィックについての考察

(上の写真をクリックすると大画面になります)


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C57とC59、車軸配置は同じパシフィッククラスでボックス動輪径も同じ機関車です。C57はC51から発展したライトパシフィック、C59はC53の後を襲って東海道山陽線で活躍したヘビーパシフィックです。これら2つの機関車の模型化のポイントをひとつ述べてみます。大阪九条の共永興業(株)本社内に展示してあるC57 148号機を間近かで見た時、それまで感じた事がなかった程、ボイラーの太さに較べ動輪径がアンバランスな程巨大に見えました。自分の立ち位置の関係からかもしれませんがこの印象はかなり強烈でした。今改めて考えてみるとボイラー径とボイラーの高さが大きく関係していると感じました。模型を製作する時、大変重要なポイントになります。148号機を見た時の印象で細いボイラーが動輪及びフレームにめり込んでいると感じられる事でした。上の写真でC57の動輪上フランジ先端からランボードまでの距離がC59に比べ短いのが良く分かります。ボイラー径が太くなれば当然、ボイラー中心も高い位置になります。蒸気機関車ではなるべくボイラー中心は下げた方がバランスが良いと考えられており、ボイラーの細いC57は当然、ボイラー中心がかなり低く抑えられています。ボイラー中心及びランボードが動輪に対して高い位置にあると見た目機関車のスピード感が増してきます(もちろん機関車のデザインにも縁りますが)。C57の模型を製作する上でこれまでボイラー中心が高く設定されているものが多くありました。C57が必要以上にスピード感溢れる格好の良い機関車に見えてしまいます。もう一点、ボイラーに対してキャブの取付位置が本来より高い場合はやはりスピード感が増してしまいます。実物の写真と較べて蒸気機関車の模型を鑑賞する場合、細かいディテールの差異ばかりでなく機関車とテンダーの高さのバランスを注意して観察するようにして見てください。審美眼が磨かれる事でしょう。C57は決してスピード感あふれる機関車ではありません。



ボイラー中心が動輪より高い位置にあります。ボイラーの太さと動輪径のバランスが最高に保たれたのがC59です。

ボイラー中心が動輪に対して低い位置にあるのが理解できます。ランニングボード白線とキャブ下端の白線の段差(キャブの取付高さ)も注目して下さい。動的なC59に対して静的なC57といった趣きです。