当店製品はEF62より店頭限定販売のみとなります
ムサシノモデルが韓国での製造を始めたのは1993年のことです。来年には30年になります。当時の韓国の平均給与は日本の3分の1ほどでした。以前も書きましたが昭和30年代の東京の場末の様な雰囲気が漂い何とも懐かしい親近感を覚えたものでした。それが緑豊かなソウル郊外にあれよあれよと高速道路網が完備され広大な田畑は次々と高層団地群に姿を変えて行きました。日本の携帯電話は小さくて機能的でオシャレ等と韓国の若い人の話を聞いたことも有りました。韓国の著しい発展を目の当たりにしながらひたすら真鍮製鉄道模型の製作に取り組んできました。韓国で仕事を始めたころはAJIN、SAMHONGSAと社員数200名を超える2大メーカーの他無数の中小メーカーがしのぎを削っていました。コストの安さと高い生産スピードから今では作ることが不可能となってしまった製品群を世に送り出すことが出来ました。その後、模型製作のコストアップが続く中、時代の要求に答える品質向上に常に取り組んできました。そして今、コロナ禍になって2年半、状況はかなり悪化しています。材料費の高騰、ATM及びArt Hobbes社の下請け業者の値上げ等により今まで小売価格を抑えてきた当店も抑えきることが出来ない状況になっています。先年ご好評頂いたEF81は製品としては大成功だったにもかかわらず商売の金銭的には失敗作となっています。今回のEF65 落穂ひろいに関しましては9年前のEF65初回生産時の一般色と特急色で¥245,000、特定番号機が¥248,000から約10%値上げとさせて頂きます。しかし製造原価の上昇はその比ではありません。特に現在のEF65の場合複雑な塗装の上、生産数量数本のみのタイプが数多くあります。その為に資料を集め、研究考証し細部ディテールの再現を行い、それ専用の特殊な塗装の色見本を勘案の上時間を掛けてつくり、その手板をメーカーに送りメーカーではそれにもとに塗料を作りその手板をこちらで確認の上更に微調整する様な事をおこなっています。塗装も塗色、マスキングの手間など増える一方で全てにおいて量産品の範疇をこえています。又EF65の場合ご注文開始がコロナ禍の始まるより以前の1999年秋でした。当然メーカーのATM社ではその後の原価上昇を鑑み製品の船積み価格を提示する事が出来る状況には有りません。しかし当店では数多いバリエーション展開故に各タイプのタイプごとの数量を決めその総数を発注しないと何時迄経ってもメーカーでは製品作りは始められません。そして手造り製品ならではの遅れにより経費はドンドンかさんでいきます。
EF81より製造が難しく手間のかかるEF62では製造原価がEF81より更に10%以上上昇しています。この価格上昇を最低限に抑えるために店頭販売のみと決断いたしました。以上。