EF62の憂鬱
 
ムサシノモデルでは製品化の準備にかなり前の時期から構想を練り、実物資料、データ収集、実機取材の上で綿密にプロデュースを行いそこから引き継がれてATM社による模型設計図面(GOD)の作図がCADにより行われます。出来上がった基本図面を基に修正を繰り返しながら最初のサンプルモデルの製作に着手して行きますがここまでに1年以上の時間が経過しています。サンプルモデルとはいってもロストワックス原型やエッチング、プレスその他諸々の部品は量産品に使用するのが目的の為数百枚に及ぶ部品図が作られ各下請け部品メーカーに送られます。下請け部品工場からの部品が揃いサンプルモデルの製作が始められることになります。そしてサンプルモデルが完成することになりますがここまででATM社の掛かった経費が日本円にして300万円ほどになります。これは図面の作成に時間がたいそうかかるのでその経費が馬鹿にならないのです。その後この出来上がったサンプルモデルをチェックし図面を新たに修正して行きながらバリエーション展開を図面上で行って行きますがこの作業に更に半年を要します。勿論量産品製作着手前にサンプルモデルを検証、多くの部品の修正、作り直しを行います。至極順調に行っても完成までに2年半、普通は3年から4年を要してしまいます。又EF81の様に製作開始後予定完成時期から半年以上遅れる事態も発生します。私たちの製品作りはバージョンが多く今までになく複雑で何時もまるでパズルを解いていくような確認作業の連続です。
現在ATM社ではEF62.EF15.ED78と3つのサンプルモデルが完成しています。総額で900万円程になります。このうちEF62についてはバリエーション展開した50タイプ近い図面は1年以上前に既に完成しています。そこでATM社と相談の上JR貨物他のEF81から予定変更してEF62をEF65 5rh runの後に製作発売することに致しました。EF62はサンプルモデルの修正点が多く図面をよく検討の上、車体前面を中心にサンプルモデルを作り直しているところです。
ここで問題はもう今まで通りの売り方では小売価格の上昇を抑えられなくなっています。
当店ではEF81でこの問題に直面し経営上厳しい局面になりました。製造原価の上昇が大きく又製作期間の長期化に伴う目に見えないコスト増、発売時期の大幅な遅れ等など利益がどんどん削られて行きます。問屋卸はほとんど利益が出ないと云う事になっています。そこで、これからどうするかと云う悩みでEF62の憂鬱です。ATM社で出した製造原価でEF62はEF81より手間も大幅にかかる事ことも有り大幅に上昇しています。物の価格が大きく上がっているのは世界的傾向です。ここで大きく舵を切り製造メーカー、お客様共に満足出来るように取り計らって行く方法に努めてまいります。
 現在Art hobbies社で進めている16番貨車ワ22000中期.後期型、ワム60000、レ12000ワフ21000等は初期製品と比べ原価が倍になっています。メーカーサイドでも元々貨車は利益が上がらない上、製造原価のコストアップが激しく当店としては進むか、退くかの選択に直面しています。