追悼文。AJIN~亜進精工社、趙 南 達 氏の思い出
 
先日、亜進精工社の社長として日本の模型界に多大な貢献と足跡を残した趙 南 達 氏がお亡くなりになりました。長く難病と闘いながら熱い思いで鉄道模型製作に正に命をかけ
て取り組んで来られました。享年73歳、まだまだ若くやり残した事も有ってさぞかし無念だったと思います。亜進精工社は現在トミックスのインジェクションモデル16番製品を手掛けています。三共社(サムホンサ)で生産部門のトップを勤め1978年独立、亜進精工社を創業。最盛期には200名を擁する大メーカーとして三共社(サムホンサ)と共に世界の真鍮モデル2大メーカーとして君臨しました。日本との繋がりは1980年代後半のFEF OJ製品が最初となります。その後当社は勿論の事アドラーモデル、ナローモデル、ホビーショップ・モア、福山モデル、パサージュ、モデルスイモン等へ真鍮モデルを供給。しかし、その後のウォン高、人件費の高騰、安価な中国製インジェクションモデルの台頭等の原因により大幅な事業縮小を行いインジェクションモデルのメーカーに特化、現在に至っています。
 私も趙社長にはあらゆる面でひとかどならぬお世話になり今のムサシノモデルが有ります。又多くの人を育てました。チームを組んでいるA-TRAIN MODELメンバーも元は亜進精工の真鍮モデルセクションの主要メンバーで構成されています。ART HOBBIESの崔 柱 鉉 社長も亜進出身です。その他にもカンタムサウンド搭載の製品制作のKOREA BRASS、BOO LIM、FM MODEL、FC MODEL、SUNG JIN MODEL等々その他多くのメーカーが亜進精工出身です。もう20数年前の思い出として初夏、半そで姿で工場内でのEF500の最終組立を嬉々として指導している趙さんの姿が思い出されます。資料の極端に少ないDD54 1次車やDD91の図面を自ら手掛け私の意見にも真剣に耳を傾けてくれました。一般の模型ファンには表には出ない馴染みのない裏方として真剣に模型製作に取り組んできた方です。ここにご冥福をお祈りいたします。