2019.11.3

2019韓国訪問記その3
今年の訪韓6回目ですが今年はこれでお終いの予定です。日韓問題についてお客様からも色々質問されますがその解答としては私たちの仕事上の事柄については全く変わっていないという事です。一つ変わった事としては韓国人旅行客の激減で航空券の入手が容易になった事で直前まで予定の決まらないスケジュールゆえ私にとっては大変喜ばしい事です。韓国の模型メーカーは皆さんもご存じの通り皆工房という零細企業です。そして韓国政府の政策による最低賃金の引上げの影響をもろに受けているのが事実です。ただSNSが日本以上に活用されている韓国では余計な事は口にチャックを閉めていた方が嫌な思いをしないで済みます。私もその当たりの事は心得ているので以心伝心でお互い理解し合っています。20年以上に渡る長い付き合いの中から生まれた信頼関係で結ばれていると云って良いでしょう。私たち日本人としては先のラグビーワールドカップでの日本人の行いに対して世界から絶賛されましたがこれと同じく日本人としての誇りを持って大人の対応をしていくのが良いと考えます。ムサシノモデルの製品作りは今まで通り全く変わらずATMやアートホビーズ等私たちの彼らの仕事に対する高い評価に対して益々やりがいを感じてもらっています。
ATM
8月はDD51の第一回発売分の検品で2回の訪韓を行いましたが今回はDD51の第二回目分の検品がメインの仕事となりました。最初今回の検品分30バージョン43タイプをまず一輌一輌細部のディテール、塗装、レタリング表記に間違いがないかじっくりと検査したところで初日の仕事は終了となりました。

タイプの事なるものがこれだけあります。量産品ではあるかもしれませんがほとんど特製品と云って良いものです。ATMでは長い時間を掛けて不可能を可能にしてくれました。

山陰タイプ0番台車。キャブ側面のディテールが全て異なります。

2次試作車2,3,4号機。下廻りは動力台車以外は全く別形態のものです。

愛知のA更新車と事故後の北斗星色1006号機。

愛知青色、赤色A更新車。



夜はいつもの石窯焼き魚のお店。初日はここと決まっています。

最初はいつもの通りボッサム(豚の肉を蒸して油を落としたもの)と大根キムチの盛り付け。

メインはノルウェー産の油ののったサバの石窯焼き。秋になったせいか大変美味でした。

ATM
2日目、本格的な検品が始まりました。一つ一つのタイプをまとめて検品していきます。

青色A更新車889号機。





直ぐにお昼の時間です。韓国では餃子も饅頭もマンドゥといいます。
ATMの近所の普通の商店街の食堂で観光客が決して行くような場所ではありません。地元の小さな会社の人たちがお昼に利用するような食堂です。別に日本人だからといって何という事もなく挨拶をするとにっこり笑って返事をしてくれます。どこも一般庶民はこんなものです。

ジョンシュク氏はEF81の車体1輌1輌の検査や雨どいの形状確認等細々を行っていました。




ATMではEF81の全ての部品が揃い既に台車、床板等下廻りから半田組み立てに入っています。意外ですが最も苦労したのが車体の下部、台枠との段差の問題でした。車体側板と露出した台枠との段差を1/80にすると約約0.2㎜となります。この段差を均一に表現する事が技術的に大変難しい事となりました。何度も失敗を重ね修正を行い上手く成功する事になりました。ATMの朴社長としては引き続きEF71、ED78が同じようなパターンとなるのでその事も考えた上で技術的に解決しなくてはいけないとの思いがありました。


雨樋落とし口の形状確認。

EF81のロフトパーツの検品を行っています。

組み立て工場を閉鎖したブーリムから格安買い取ってきたタッピングマシン。ブーリムは韓国国内、中国メーカーでのOEM生産に移行し図面だけを自社の中で作図する事になりました。

DD51もEF65程ではありませんが塗装後の後付けパーツが沢山あります。プロテクターやナンバープレート、メーカーズプレート、JRマーク等々延々と作業は続いていくという感じです。日本ではもうこのような仕事は無理です。

EF81の台車枠には数多くの別付け部品が取り付けられます。
その取り付け穴を一つ一つ加工していきます。

EF81の台車枠。

こちらでは愛知A更新車の最終アッセンブリング中です。
慎重に慎重に作業を行ってもらっています。

愛知青色A更新車。これから各プレート類が取り付けられます。

EF81の台車の部品。

2日目の夜はこれもいつもの定番のオージー和牛のお店。日本では考えられない値段で食べられます。

DD51が一区切り付いてほっと一息の朴社長。

肉はさっとあぶってレアで食べる感じです。

最後もいつもの冷麺で締めとなりました。


 
アートホビーズ
現在アートホビーズではDD11の半田付け組立がほぼ終了。塗装への準備段階に入っています。C12もロストワックスパーツがほぼ出揃った状態で半田付け組立に入る直前といったところです。



茅ヶ崎久里浜分庫時代のDD11。

小倉工場改造後の1号機。

ヘッドライトがボンネット先端に突き出すように取り付け変更。排気管もキャブ前妻に立ち上がるように改造されています。デッキ部分も大きく形が変わりました。









非常用発煙筒は正確な形のものを一から作り直しています。

今回のDD11はディテールだけではなく車体やボンネット、キャブ等基本的なベースとなる部分の表現力も力を注いでいます。例えばキャブは側面、前妻を1枚の板を曲げて四角くしたものにプレス絞り加工の屋根を被せ仕上げています。又側面と前妻のコーナー部分も全部一か所一か所手作業で面取りをしています。

北海道苗穂工場の3号機。1967年から1974年頃の姿を再現しました。

1,2号機とは全く別の機関車のように改造されています。前妻には元々キャブ屋上にあった渦巻タイフォーンが移設されています。





店頭販売特別製品 田園の唄シリーズの大分交通D31,32。

DD11とは手摺りの形状等大分趣きが異なります。



屋上には長短4つのタイフォーンが取り付けられています。
キャブ内にはハンドブレーキホイールがちらっと見えます。

塗装後に取り付ける事になるラジエーター。

床下もフレーム等を再現した労作です。

下廻りの精密感は小型車両でも手を抜かないというポリシーが貫かれています。



当然の事ながら軸バネ可動です。



リアフレームにはトルクコンバーターまで再現されています。



ロッドは黒メッキ仕上げとなる。





シチズンマイクロコアレスモーターと車輪。



アートの崔社長。彼との付き合いも25年になります。


 
ATM
3日目の夜はDD51の打ち上げ食事会。今年2回目の打ち上げ会です。




メニューはカムジャタン。

煮込んだ状態。カムジャタンのカムジャはじゃがいもの事。
牛の骨付きバラ肉を煮込んだもの。

これはカンジャンピョタン。醤油味のカムジャタンという意味です。デミグラスソース味に似ていました。それにしても皆てんこ盛りです。








 

最終日DD51のチェックをギリギリまで行いました。

EF81の進捗状況。

EF510に匹敵する下廻りの出来となっています。



組立工場は何とグリーンアートです。

最終日のお昼は

ゴルフクラブカルビタン

骨をゴルフクラブ例えて疲れをゴルフクラブでかっ飛ばせというキャッチフレーズ。

骨から肉を外したところです。もちろんたちばさみで。

キムチとカクテキ(大根のキムチ)。

帰りは遅い航空便で帰宅は11時を大きくまわっていました。