国鉄交流電気機関車の色、赤2号についてのアレコレ 2018.12.27
  ムサシノモデルでは近い将来の製品化を目指して国鉄の交流機関車EF71.ED78.ED77の製作の準備を進めております。ATM社ではED78の新規金型製作も終了してサンプルモデル製作の準備が整っています。中間台車廻りの忠実な再現を始め床下機器、エアータンクのEF71との取付け向きの違いとその配管等々見どころ満載のモデルを目指しています。 今から17年前、当時量産機が出始めていたEH500の赤色の調色にはえらく苦労しました。連日深夜まで調色作業を行い満足のいく色を調色する事が出来ましたが手の洗浄中誤って右手中指の筋を切ってしまったという嫌な経験があります。EH500はその後丸ごとコピーモデル(全くの相似形)を作られ散々でした。 国鉄交流機の色、赤2号も頭を悩まされる存在です。赤2号は国鉄で特急電車、特急気動車の窓回り、交流電気機関車の車体色、50系客車の車体色、旧準急気動車の窓回り等に使用されている標準色です。昔、模型の世界で交流電気機関車と云えばカツミさんのEF70,ED70。鉄道模型社のED71が有名な存在でした。当時真っ赤な朱色のEF70と少しローズピンクっぽい上品なED70を比べて当時の中学1年生に疑問を挟む余地などある訳は有りません。模型社のED71は今当時のカラー写真をみても何か納得させられるものが有ります。その後天賞堂さんでED75が、そのあとEF71が発売になりその色の暗さ、悪く言って血糊のような色にウーンと訳も分からず感心した覚えがあります。少し遅れて発売になった宮沢さんのED77,ED76等もやはり暗~イ色でした。EF70,ED70については東北筋の交流機とは色合いが異なったようですが、特急電車こだま、特急ディーゼルキハ82系も赤2号です。あんなに暗い色かい?と疑問をもってしまします。その後発売された交流電関、これでは模型的に暗すぎると明るい色に変更されています。 板谷峠とEF71については面白い思い出があります。1991年8月も終わりの頃高校の先輩と板谷峠駅から県境を越えた山形県米沢の滑川温泉に一泊二日で出かける事になりました。元来温泉嫌いの先輩、滑川温泉の渓谷沿いにある混浴露天風呂に魅せられて何回か通った挙句自然が素晴らしいと私も引っ張りだされる事になりました。板谷峠駅に着いたのは夏の土曜日の午後。降りた客は数人で皆駅から直ぐ出て行き駅のホームには私達二人きり。静かでのどかでゆったりとした気持ちになります。峠の力水を飲み、峠の力餅を食しているうちに旅館の4WDが迎えにきました。旅館は東北の湯治場で素朴な佇まい、渓谷沿いの露天風呂はでこぼこ道で懐中電灯を手に真っ暗な中をやっと歩いていきますが渓谷のせせらぎの音を聞きながら温泉につかり自然と上を見上げると満天の星、天の川で夜空が明るく見える程でした。懐かしい思い出です。その翌日の日曜日、峠駅に戻ってみると駅の状況は昨日とは一変していました。静かだった駅が100人近い人、ヤロー、所謂鉄っちゃんがホームに雲霞の如く群がり右往左往している状況でこの時初めて「あっ、これEF71最後の見納めの日だったの」と気が付く体たらくぶり。ギャラリーの中には見知った何時もはおっとりとしたお兄さんがミカン箱を手に血相を変えて矢張り右往左往しています。そんな喧噪の中EF71は堂々と峠駅に姿を現しました。でも近くに見るEF71は模型で見るより優しい表情で少しもっさりして見えました。その車体の色もイメージしていたものとは全く違うものでこれ又「エッ」という印象。その後暫くしてEF500の取材で訪れた長町機関区で見た多くのED75は風雨にさらされ更にと云うか大分情けない色合いの車体色になっていました。そして国鉄の赤2号に対する謎は深まるばかり・・・・・。 郡山在住のお客様に言わせると当店のEH500の色で間違いないとのご意見。でも田端のEF81北斗星色も赤2号です。皆イメージがバラバラです。そんな話をお客様としていたところ、つい先日見かねて何とEF81のナンバープレートを持参、拝見させて頂く事ができました。4枚のプレート、一つは大宮工場で整備した北斗星色初期のグレイエッチゴム時代の赤2号でこれは現物を見た事はないものの正に血の色、正確には血糊の色と云う表現がピッタリな代物で昔の例のEF71やED75の模型を彷彿とさせる色です。国鉄時代郡山工場の赤2号はこれに近いのではとのお話。二つめは土崎工場でEF81の全検を行う様になった最初のうちのものでこれはかなり派手な色合いです。次の2枚は花曇りの外光の下非常によいイメージの土崎工場の赤2号EF81北斗星色黒エッチゴムのもの、上野駅で見、現在の田端のお馴染みの色。この色は良いと思い試しにトミー~AJIN製のEF71と比べて見るとこれがドンピシャ。71は81の色を参考にしたものでした。模型的には塗装面積が小さい故に北斗星色黒エッチゴム仕様の赤2号は少し明るくする必要があります。そして国鉄時代の赤2号、当店製EH500を眺めながらもう少し考察して見る事といたします。皆さまのご意見等ございましたら是非お寄せ下さい。