特集2 16番とHOn3 1/2
更新日 平成15年8月25日


単機では現在世界最大級の大きさを誇るアメリカ ユニオン・パシフィック鉄道のEMD SD90MACの最新型フェイズUキャブと並ぶ国鉄F58 115号機

 

世界最大の蒸気機関車アメリカ ユニオン・パシフィック鉄道 4000クラス4-8-8-4ビッグボーイ後期型と並んだ国鉄C-62 44号機。ビッグボーイの機関車本体整備重量560t、C−62は対して145t。ビックボーイの動輪直径1727mm、C−62 1750mm。

ビッグボーイとC62のテンダー比較。



世界最大のハドソン・クラス チュサピーク・アンド・オハイオ鉄道のL−2aポペットバルブと並んだC62 44号機。


西ドイツ国鉄(DB)の誇るアインハイツBR−01 175と並ぶC62 44号機。01の動輪直径は2m。東京神田の交通博物館でその大動輪の実物にお目にかかる事が出来ます。



イギリス ロンドン・アンド・ノースイースタン鉄道(LNER)の特急牽引機A−3 フライング・スコッツマンと並ぶC62 44号機。


イギリスでは1/76 16.5mmゲージのOO(ダブルオー)ゲージが一般的です。
イギリス型HOスケール・モデルは皆無でしたのでこのA−3のHOスケールモデルは大変貴重な存在です。この機関車を見て分かる通り大動輪を有しながら実にデリケートで流麗なラインを持つのがイギリス型機関車の特徴です。そしてスタンダード・ゲージでありながら非常に狭い車巾、低い車高等上から見た場合相当なガニマタです。恐らく歴史の古さが逆に狭い車輌限界を生んだと思われますが、この事が長らくイギリス型蒸気機関車をHOスケールで製作するのを拒んできました。小型で強力高性能のモーターの登場。コンピューター制御の各工作機械で作られた動輪やギヤーボックス、各パーツ類。高度なエッチング技術により繊細にきめ細かく再現された各パターン、それらを組み立てる高度な技術、素晴らしい塗装のテクニック。これらがあって初めて、このA−3のようなプロトタイプのHOスケールでの再現が可能になったのです。この模型は韓国三共社(サムホンサ)がオーストラリアのインポーター、プレシジョン・モデルの発注で150Unit製造したものです。そのサムホンサも鉄道模型の制作から手を引いてしましました。日本ばかりか世界のブラスモデル大国、韓国でも鉄道模型製作が良い仕事ではなくなってしまったのです。このイギリス型機関車のケースはそのままHOn3 1/2による日本型模型についても当てはまります。HOn3 1/2の模型は最初に日本の輸出メーカーにおけるアメリカ、ヨーロッパに対しての輸出産業として、次の段階で16番日本型の長期に渡る技術力のアップ、周辺技術の向上、小型高性能モーターの登場により比較的近年1980年代半ばに誕生したものです。1/80 16.5mmゲージ16番の模型の繁栄の中から生まれ育ったのがHOn3 1/2の模型です。時あたかも日本の経済、文化がひとつの頂点に上り詰めつつあったあの時代、OJが一般製品として登場してきたのと軌を一にします。HOn3 1/2モデルの母体である16番ブラス・モデルの危機はそのまま、まだマーケットが確立しているとは云いがたいHOn3 1/2モデルの危機でもあります。当店では1970年代前半よりHO、HOn3、HOn2、O、On3、On2等の模型を取り扱ってきており日本の国鉄はナローゲージであるとの認識が自然と身に付いております。EF58やC62のHOn3 1/2モデルと各国代表機関車を較べると我がゴハチもシロクニも所詮ナローゲージの機関車に過ぎないのです。さらに端的に云えば日本型をナローゲージと認識したところからHOn3 1/2は初まったと云えましょう。そしてその事が可能になったのは重ねて申しますが16番の技術的発展の賜物と云えましょう。



C62 23号機とカニ21。一応”ゆうづる”の想定。残念ながらヘッドマークはありません。