特集3 ノスタルジック・トロリーラインズ

東京都電5000。今から9年程前に趣味界の大先輩M様より1部のみ現存する5000形(昭和5年製)の実物図面をご好意によりコピーさせて頂いておりました。昨年4月よりこれを基にプロデュースを開始。亜進社としても5000形は相当難しいプロトタイプで最初の担当デザイナーがとうとうギブアップ。何と亜進社の趙社長が設計図のアウトラインを引く事となりました。もちろんこれは5000形(昭和5年製タイプ)のオリジナル3扉車となりますがこの図を当方と亜進社で半年近いやり取りの上、10月始めに決定稿が仕上がりました。ここまでで資料を渡して1年。そしてこれから3扉車の図を基本として昭和5年、昭和19年製の各々2タイプずつの2扉改造車の図面製作に入ったところです。フー、大変だぁ。

そしてもう一つの都電シリーズ8000形。8年前に一度製品化したものの改良再生産品ですが、その後の技術向上と多くの資料により最近の7000形前期型、6500形、6000形と同等レベルのモデルとして発売致します。今から8年前、都電モデルとしてはまだ6000形しか存在しなかった時に7000形後期型、8000形とほぼ同時リリースを致しました。当時の思い出として8000形に関しては、こんな車体をまともに製品化出来るのだろうかと云うところから出発した企画で今から見てもまあ技術的に素晴らしい製品だと誇れます。しかも当時は不毛だった路面電車関係の資料がその後出るわ出るわ。あの当時の苦労がまったく嘘のようです。これらを最大の武器として新しい気持ちでプロデュース中です。例えば排障器2種類作り分け、ビューゲルコードの滑車覆いの形状違い、系統板の引っ掛け式と行灯式の作り分け、アンチクライマーカバーの有無、そして前回製品化していない日本車輌支店製(さすがにユニットサッシまでは無理ですが)の方向幕周辺に段差の無いタイプ、さらに金太郎塗りは7000後期型登場時のものと同じ塗色で再現します。

以上都電シリーズと別にノスタルジック・トロリーラインズ10年来の悲願であります、大阪市電2601/3001各2タイプ計4タイプの進行を再スタートさせました。8年前にサンプルは仕上がっており、そのチェックまで終わった時点で頓挫していたモデルです。当時より模型化の技術水準が格段に向上した事もありGOサインを出した訳です。しかし4年前には緑木車庫で実物の取材を行なったり(大阪市電タイプ台車もバッチリです)資料を収集したり準備は水面下で進めておりました。

そしてもう一つ、やはり8年前、神戸ハーバーランドで取材していた神戸市電700型を4タイプで製作する事を決定。当時のままバラバラになっていた写真・資料を整理。以前から内に秘めつつ温めていたプランを実行に移す事となった訳です。取材当時は阪神淡路大震災より2年程後の事、又取材した708号もその後スクラップになってしまったりと製品化は私たちにとって永年の夢でした。9年前1995年1月14日にこのシリーズと云うか私たちの1/80韓国製モデルの第一弾として都電6000を発売したその3日後の月曜日早朝の出来事は一生忘れられません。当時連日連夜深夜まで都電6000のCHECK修正を行なっていましたがその思い出はあの大震災の記憶と直結しているのです。