2024.9.4
Souvenir6
もう50年近く前のTMSに初めて見る電気機関車の全自作の模型の記事が掲載されました。それがED54とEF50でした。それまで旧型電気機関車と云えばED11やED14.ED17が定番でしたが初めて見たこの2形式の模型のインパクトは私に強い印象を残しました。

 

縁あってこの模型はうちの小さなショーウインドウに飾らしてもらえる事になり、毎日眺る事で余計一層まさに輸入電気機関車の奥の院的存在と認識するようになったのです。その後EF50はピノチオさんから50.000円と当時としては驚異的な価格のキットが発売になり度肝を抜かれたり、鉄道模型社さんからプッチンキット(意味判るかしら)ED12.ED57.ED56.ED23等と共にED54のキットも発売され、動力機構に凝ったED54の競作もTMSの誌上を飾りました。しかし最初のインパクトの強さは今も記憶の中にしっかりと刻み込まれています。又、縁あってスイス、ブラウンボーベリ/シュリーレン製の西武E52/鉄道省ED12のキットを発売する事が出来、次はED54をと考えましたがその頃には国内でキットを製作する事が困難になっていました。韓国での製品作りが始まり最初期にアジン精巧でこれも是非作って見たかった旧阪和電鉄のED38を疾風怒濤で製作しましたがまだ試行錯誤の真っただ中でした。それも落ち着いてきて今度はアジン精巧でドイツ、シーメンスのED57を、ヨーロッパ型が得意であった親和貿易でクラウス10形の後にED54を製作することになりました。

 当時も今も夢の様なED54の製品化です。

ED54は知り合いがSLM、スイスロコモティブから入手した仔細図面から模型化図面を作図、かなりの気合を込めた製品になりました。当時ご高齢でご存命であった荒井文治先生のご自宅を訪れ教えを請い貴重なお写真をお借りしたり、ブラウンボーベリタイプのパンタグラフの製作には以前ED12キット製作時に故日高冬比古氏から頂いた資料等も活用し当店サイドで模型化図面を作図、万全を期しました。今から26年前の1998年に発売になっています。

 このEF50に続いて製作したのが省形電気機関車の標準型EF53でした。これにEF52を加え完成した3輌を並べるのが夢でした。

ED54の完成度の高さにより以後は親和貿易に旧型電気機関車の製作を任せる事になりED18.ED51.ED13とデッカー/イングリッシュエレクトリックのD型機で万全を期してから当店初めてのF級旧型電気機関車として製作したのが2002年発売のEF50になります。実機の機械部分の製造を担当したのがイギリス、スコットランドのグラスゴーに本拠を置くノースブリティッシュと云う事で知り合いの方がこの周辺の博物館にED17系統とEF50の実機資料が残っていないか色々と調べましたが一切手がかりが有りませんでした。そこでデッカーシリーズ最初のED18の時から参考にしていた交友社刊"視録電気機関車"1の巻末のEF50の折り込み図面を活用。この図面の出どころは不明ですがメーカーオリジナル図面といって差し支えない精度です。パンタグラフは側面図のみと云う事で東武鉄道博物館に保存のデッカー、デハ1のパンタグラフがイングリッシュエレクトリック製と云う事で荒井文治先生がその昔撮影したED17系統の同パンタグラフの写真と合わせEEパンタグラフの精巧な模型化図面を作図しメーカーの親和貿易に送っています。又、車体幅をスケール通りの32.5mmとしサイドビュー等には一切手を加えないとした上で最小通過曲線をダイレクトSカーブ610Rと設定、これには一足早く発売となっていた水野さんのEF50を参考にボルスター位置を変更することで対応。先台車廻りは絶縁に工夫を施しデッキ下部形状に手を加える事無く重厚壮大なEF50のプロポーションを再現しました。当時の小売価格は¥186.000でした。現在製作すれば更に良い製品ができるかもしれませんがED54共々長い時間が経過した今の時点でも全く陳腐化していないと思うのは作り手としての贔屓目でしょうか。

この当店のEF50のモデルが影響を受けたもう一つのEF50のモデルが手元に有ります。もう35年以上経つでしょうか。たまたま在庫として有ったピノチオさんのEF50のキットに安達さんのEEパンタとサガミマイクロのカンモーターを添え、花園製作所の今井社長を通してモデル8の澤田さんに組み立てを依頼、完成させて頂きました。ご存知の通りこのキットの台車廻りの組み立て等には加工箇所が多く難物キットとして有名で有りました。そして時間がかかったと記憶していますがこのキットがバシッと組み立てられ美しい艶の有る塗装で完成され送られてきました。当店のEF50を始めとするデッカーシリーズの製品は鉄道模型社、つぼみ堂、しなのマイクロ、ピノチオさん、水野さんの製品の、そしてデッカー好きだったうちの親父さんの上に成り立っています。困ったもんですね。