ラインナップ NO.68                             2015.2.19
特報
復活1/80 16番
蒸気機関車シリーズ!国鉄8850
5バージョン


大正時代 初期タイプ 真空ブレーキ サンプル

当店のサイトでも度々記してきました16番での蒸気製作を復活させたいとのお話。長~く準備を行ってきましたが企画も大分進行して来ましたのでここに発表させて頂きます。形式は8850。非常に非常に模型化の難しいプロトタイプです。1911(明治44)年ドイツ ボルジッヒ製で番号は8850~8861の12輌。1913年には直ぐ川崎造船所でコピーが12輌8862~8874製造されている。ボルジッヒ製は機関車本体のみの輸入でテンダーは6700、6750等と同様の3軸テンダーの組み合わせ。川崎のコピー機は片ボギー式台車のテンダーを使用している。東海道線の特急「最急行」は4-4-0の6400が牽引していたが1912(明治45)年東京(新橋)~下関間に大陸と結ぶ為の特別急行を新設する事となり(1列車、2列車後の特急富士)国際列車としてそれに相応しい内容の質を求められる事となった。これを牽引する目的で当時の鉄道院の工作課長であった島安次郎が計画したのが加熱式の2-C形テンホイラーを海外、特にドイツへ発注する事であった。結局入札の結果 島が要求したドイツ製はシュワルツコップフの8800形とボルジッヒの8850がその範疇に入るものであったがイギリスのノースブリティッシュは飽和式の8700形をアメリカのアメリカン・ロコモティブは2-C-1のパシフィック形8900形を政治的手段を使って押し込んでくる事となる。8850は中部鉄道管理局内の東海道線各機関区、新橋、沼津、浜松、名古屋庫に配置され1912年6月運転開始の特別急行1、2列車の牽引に当たっている。有名な山北越えでは後部補機に9750等のマレー機関車を付けて走破している。これ以降1919(大正8)年の18900形(後のC51)登場まで東海道線東京口の特急牽引機として大活躍する事となる。しかし18900の増備により8850も東海道線でのローカル列車用となり一部は東北線にも進出。昭和に入ると安房北条、勝浦、千葉庫に集められ房総線の主力機となっている。1934(昭和9)年八高線全通により11輌が八王子、高崎に集められここで戦後まで使用される事となる。残りの13輌は青森、米沢や1936年7月の五能線全通により弘前、鰺ヶ沢庫に転用されているがこれらもその後8620の進出により戦争中には東鉄局へ戻され飯田橋、恵比須、土浦、高萩等に配置され入換に使用されている。1951年までに全て廃車になっているが8864、8865の2輌は1950年廃車後北海道、三井鉱山奈井江鑛業に譲渡され8864は1961年廃車、川崎造船所製8865も翌1962年廃車解体されているので残念な事に保存機は残されていない。
8850形はそれまでの旅客用機関車と比べれば遥かに大型のものであった。又これらの機関車を参考とする事により8620、9600ひいては18900(C51)への道を開く事となる。8850の特徴として厚みが有り更に高さを低く取る事ができる棒台枠を採用した結果ボイラー中心高さを高く取り火室を台枠の内側ではなく台枠の上に置く事が可能となった。これは火室の中を広く取り奥行を短くし機関助士の投炭を楽にする効果がある。心配された高い缶中心によるバランスの悪さも問題なく後にこの方式の影響を受けて製作されたのが9600形ではやりボイラー中心を高くし火室を台枠上に置いている。もう一つ8850の特徴として火室を台枠の上に置く事により第2、第3動輪間の距離を大きく取る必要がなくなり第1動輪を後ろに寄せてメインロッドを結ぶ事で固定軸距を短くしカーブ走行の円滑さを計っている。この結果先輪と第1動輪間が大きく空く事となりこれが模型的にはアメリカン、4-4-0同様機関車の軸重バランスを取るのが大変難しいものとなっている。

以下メーカーでのサンプルモデル製作途中の写真です。















厚みがありさらに高さを低くする事ができる棒台枠と上に乗った火室の表現、さらにフレームの中に落とし込まれた灰箱等々OJ並みの作り込みです。

8850は模型化する上で軸重バランスの取り方が困難なプロトタイプです。この為動輪及び先台車はフルイコライジングとしテンダーの重量の一部を機関車本体に掛ける事により第2動輪中心に重量バランスの中心を持ってくる事に致しました。当店のホハ、ナハ系客車7輌を牽引する事が可能です。

ボルジッヒ製に使用されたテンダー。多くの改良点があります。






真空ブレーキのシステムを見事に再現致しました。





川崎製空制化バージョンのテンダーの下廻り。




<8850大正初期時代のサンプルモデル>
















キャブインテリアはフルに作り込みました。

真空ブレーキのエデクターがボイラー横に見えます。又後ろ妻が無いのも輸入機としての特徴です。






下廻りはまさにOJ並みの作り込みです。16番の蒸気機関車モデルとしてはあらゆる意味でこれまでで最高の出来栄えであると断言できます。



真空ブレーキバージョンのテンダー下廻り。後ろ2軸がイコライザーで結ばれ、前の一軸の上下動を少し大きく取りテンダーの重量の一部を機関車に掛けています。

<三井鉱山奈井江鑛業8864、晩年の空制化タイプ>

キャブを延長した事により一見ハチロクSキャブ風となります。増炭板、梯子が付いたテンダーが炭鉱鉄道の機関車らしさを醸し出します。













キャブインテリアは真空ブレーキバージョンとはしっかりと作り分けを致しました。後ろ妻も取り付けられています。





左の奈井江8865号機キャブが延長されているのが分かります。

空制化バージョンのテンダー下廻り。






8700と比べて8850の高いボイラー中心が良く分かります。

マレー機9750と共に大正期東海道線東部及び箱根越えで大活躍しました。



D12、6400クラス。明治末期東海道線東部の特急牽引機として君臨した。

東海道線特急牽引機列伝の最初に位置し後のC51、C53、EF50、EF53、EF55、C59、EF57、C62、EF58、EF60、EF65、EF66に繋げる最初の一歩

6400キャブ嵩上げタイプとキャブ屋根の高さがぴったり揃っています。

今回の8850は全5タイプで製作発売致します。

タイプ1 大正時代 初期タイプ(今回のサンプル)真空ブレーキ
輸入当時のスタイリッシュな姿を留めている。
タイプ2 大正時代 中期タイプ 真空ブレーキ
発電機を設け電気式ヘッドライトを装備。テンダーには重油併燃用のタンクを積んだスタイルを製品化。
タイプ3 昭和初期戦前~戦後 ボルジッヒ製空制化タイプ
八高線にてホハ12000、ナハ22000はた又貨車を混じえて牽引して活躍していた時代を再現。
タイプ4 昭和初期戦前~戦後 川崎造船製空制化タイプ
タイプ3同様に八高線にて活躍していた時代を再現。
タイプ5 三井鉱山奈井江鑛業8865号機
戦後北海道の炭鉱鉄道へ譲渡された8865号機を正確に再現。


ムサシノモデルの16番蒸気機関車シリーズご期待下さい。