シリーズ "Idyll"〜田園の唄 39、40
東野鉄道ハニブ1、ハ1(ハ2、ハ3)

   東野鉄道は北関東の非電化ローカル私鉄。東北本線西那須野より黒羽までの13.6kmを結んでいた(1924年に延長された黒羽〜那須小川間は1939年廃止されている)。1918年の開業時より使用されていた1−B−1タンクロコ1,2号機(東野鉄道←鉄道院200←山陽鉄道←播但鉄道 ボールドウィン 1896年製)が混合列車を牽きひなびたガソリンカーや元五日市鉄道の正面キハ07、側面配置キハ05といった出でたちのキハ501やキハ41000系払下げ車が旅客輸送を行うと云う模型鉄道にピッタリのシチュエーションで運行されていました。津軽鉄道より移って来た新潟鉄工所1952製、箱型機械式ディーゼル・ロコ DC202(1961年入線)、DC201(1964年入線)がタンクロコに取って変わった後も1968年の廃線までこの形は不変でした。すでに当シリーズでは1997年に東野鉄道ワブ1、2を製作発売しております。私事ですが私の父親が1964年5月31日の1号機引退直前の姿を8ミリカラー映画に収めておりました。そして改めてビデオ化の上、数十年振りに見る映像の中に数量の貨車を引き渡した後古典ワブを一輌従えてバック運転で黒羽まで戻る1号機の姿があり、その取り合わせに思わず魅了されてしまったのが製作動機でした。また東野鉄道には美しい燐寸箱客車が存在した事も認識しておりましたが昨2000年に刊行された「戦後を走った木造車1」、「東野物語」に細部まで良く撮られた写真が載ったのを機に昨秋より模型化図面の作図に着手致しました。今年1月半ばに図面が完成。韓国Art Hobbies社に図面を送り模型製作を開始。ほぼ1年を費やしてここに私共の作品を皆様にお届けする事となりました。  東野鉄道ハニブ1、ハ1、2,3は開業時の1918年梅鉢鉄工所製。独特のモニター屋根形状や妻板に設けられた窓による表情の変化など数有る燐寸箱客車の中でも最も瀟洒な雰囲気を備えておりました。そのデリケートな感触を模型の中に取り込むのは至難の技ですがホハ12000系を手掛けた当店ではその技法を燐寸箱客車に注ぎ込む事により見事模型化する事が可能となりました。ハニブ1はマンセル式、ハはロートアイアン式とそれぞれの松葉スポーク車輪の形状まで作り分けする等、細部表現でも当店の面目躍如たるものがあります。実車は1964年頃まで使用されワブやワム3500等との組み合わせによる混合列車をタンクロコ1、2号機、DC202により牽引されておりました。当店では引き続きDC201/202を製作中。コアレスモーター搭載、フライホイール使用、全軸集電、動輪可動によりリアルで確実な走行を実現。その時初めて床下や室内まで作り込まれた今回の客車モデルの真価が発揮される事でしょう。

ケーディーカプラー#38を別途お買い求め下さい。側サボは少量ゴム系接着剤か、両面テープで取り付けてください。取付位置は客窓中央部ウィンドウシルの下になります。