国鉄 DD91

 戦後、国鉄のディーゼル機関車の歴史は占領軍が持ち込んだGE〜キャタピラ・トラクター製エンジン搭載の電気式ディーゼル・ロコ、DD12(旧型式8500)から始まった。1954年には国産初液体式のDD11が小貨物、入換用として製作され1957年のDD13型へと発展していく。これより先1953年には本線用電気式DD50が製作され後のDF50への布石とされました。この頃各車輌メーカーでは国鉄とは別に将来のDL大増備をにらみ、また輸出車輌を開発する必要から独自にディーゼル機関車の研究に当たっており国鉄ではそれらの試作車輌を借入れそれぞれを比較テストすることで新たなる技術発展の参考とした。いずれも1社、1車種、1輌でまず1956年度にDF40(後の2代目DF91、川車)、DD40(後のDD92、新三菱)、DD41(後のDD90、東芝)。1957年度にはDF90(日立)、DD42(日車)、この後1959年にはDF41(後のDF92、川車)、初代DF91(日立、1ケ月のみ借用)、1962年にはDF93(日立)、DD91(新三菱)、DD93(日車)が借入れられた。尚1962年に称号改正により試作機関車は90番台の番号で呼ぶことになった。これらのうち本線用機関車として製造されたのがDF40(DF91)1955年製造、DF90 1956年、DF41(DF92)1959年、DF93 1960年、DD91 1962年。前者3機種は電気式、後者2機種は時代の推移で液体式となっている。この間DF50が1957年から1963年にかけて137輌の量産を終了し、また1962年にはDD51−1号機が新しい時代の更に強力な液体式本線用標準機として落成している。

  DD91は1962年に新三菱重工で製作された試作液体式ディーゼル機関車です。同じ年には奇しくもDD51−1号機が日立水戸工場で落成しておりDD51 VS DD54の構図はここに早くも始ります。国鉄ではDD51−1号機とDD91を秋田に配備して共にテストするという噂もあったそうです。当時はドイツのズルツァー(0番台)、マン(500番台)のエンジンを搭載した電気式ディーゼル機関車DF50の全盛期でしたが高価、重量の割には出力不足、また外国製機関故の故障に大いに悩まされていました。この為国鉄では二つエンジンを搭載した2000ps級本線用液体式ディーゼル機関車DD51の開発を進めていました。またDD50、DF50とドイツのメーカーと深い関わりを持つ三菱ではエンジン、変速機にマイバッハ・メキドロ製の組み合わせで大出力1820psエンジン搭載の本線用ディーゼル機関車開発に着手していました。同じ出力のディーゼル機関車ならエンジン数が少ない方が製作、保守に有利な事は明らかです。DF50が活躍していた亜幹線にはよりパワーアップされたDD91クラスのディーゼル機関車は丁度良い大きさでした。この様にして誕生したDD91は落成後早くの1962年5月国鉄に借り入れられ福知山機関区に配属、山陰線京都間にて試用開始されました。全長は16m。箱型ディーゼル機関車としてはDF50、DF90とほぼ同格の大きさ。軸重を14tに押さえる為B−1−B。フロントフェイスの形状は一見DD50 2次車に似ています。この微妙に平面的な顔に深いオデコ、車体断面を取り合わせたデザインを明るいクリームと臙脂の塗色に装ったスタイルはDF90〜93と比べて最も洗練された趣きがあります。スハ32、35、43、61系等の客車と良く似合うのも端正で落ち着いたデザインだからでしょう。写真に残されている旧型客車を10輌程牽引しての走行シーンなど中々スピード感に溢れ堂にいっています。国鉄への返却は1965年。翌1966年にはDD91を試作としての量産機DD54が産声を上げています。

 当社ではDD42、DF90、DD51−1と国鉄の試作及び借入機関車を製作してまいりましたが今回のDD91は第4作目となります。DD42、DD51−1は実機も図面もありDF90もかなりの資料が残されています。もちろん特徴のあるスタイルを正確に模型として写し取るのは容易ではありませんがこのDD91では正確な図面は皆無に近く残されたのは全長、全巾、全高、軸離等を表わした簡単な形式図1枚のみ。但し今回はさるお方よりDD91の貴重な写真を多く提供して頂けました。これらを基に何回もの修正を重ねた末DD91の極めて正確なオリジナル模型化図面を作図、そしていよいよ模型の製作となりますが亜進精工社との長い時間を掛けての共同作業の結果、プロポーション、ディテール、塗色、塗装と全ての面で満足のいく製品を皆様にお届けする事が可能となりました。当店製品の特徴である細部まで考証されたスーパーディテールモデルですが完成度の高さ故、慎ましやかな静的美しささえ湛えています。オフセットした1軸中間台車を持ちますがR560Sカーブも通過。ファウルハーベル1331Wコアレスモーター使用により強力な牽引力と実感的走行感を実現しています。

・ 屋上の排煙ダクトは着脱式でその下の屋根部分にヘッドライト、テールライトのスイッチが別々に収められておりますのでパッケージ・パーツ中の金具でON・OFFします。
・ エッチング製エンド表記 1 、2 は同じくプリントされた表記の上にゴム系接着剤で貼り付けて下さい。
・ 時期によって区名札の色に変化があります。ディカールはそれに対応するものです。


ムサシノモデル国鉄ディーゼル機関車シリーズ
DD42,DD54 1次車〜6次車、DD16−15、16、303、304 DF90(3タイプ)、DD13後期型(4タイプ)、DD51−1(3タイプ) 近日発売及び製作予定 DF50各タイプ、DD51 745号機三つ目ライト、842号お召し機、北斗星塗色 他 DF40/91、DF50試作型、DF93、DD13 1次車〜6次車