◆ シリーズ "Idyll"田園の唄 44

銚子電鉄ハフ1/ハフ2

     
   JR銚子駅より外川まで全長6.4kmを結ぶ銚子電鉄は小模型鉄道さながらのシチュエーションと車輌により模型ファンにとってはすっかりお馴染みの存在です。その歴史は1923年開業の銚子鉄道にまでさかのぼります。ハフ1、ハフ2はこの時に用意された雨宮製ハニ1、2がそのルーツで屋根形状はダブル・ルーフ、外川寄に荷物室を持つ木造車でしたが1939年老朽化により日本鉄道自動車によって半木製車体に更新。荷物室の撤去と屋根のシングルルーフ化でハフ1、ハフ2へと生まれ変わりました。更に1960年代には車体側面の木製部分に鋼板を張り付け完全なニセ・スティール・カーへと最後の変身を行っております。結局、50年以上に渡り銚子電鉄において走り続けハフを牽引したその相方も開業時のガソリン機関車、戦前におけるデハ1〜3(1917年汽車会社東京支店製、伊那電鉄より譲り受け)、ボデハ101(1939年日本鉄道自動車製)。終戦直後の蒸気機関車がありました。特に戦後の1948年入線のデハ201(京成モニ7の台枠利用の上木造車体を新製したもの、1979年廃車)。1951年入線のデハ301(1930年新潟鉄工製、鶴見臨港鉄道→国鉄)、デハ101(ボデハ101を1952年日本鉄道自動車で鋼体化)の3輌とのコンビの時代は20年以上長く続き私達に銚子電鉄のローカル味たっぷりの情緒、イメージを植え付ける事となります。AEG製の超小型凸電デキ3(1923年製 宇部電気機鉄道より1941年譲り受け)とのコンビも模型的には絶妙なバランスとなります。結局デハ501(1972年入線)に続き1978年のデハ701、702の入線直後に廃車となりましたが、以降銚子電鉄はデハ801(1986年入線)デハ1001、1002(1994年入線)と小さいながらも懸命に近代化を進め現存も頑張っているのは皆様のご承知の事です。  

当店では詩情豊かな日本のローカルライン列車の再現の上不可欠なマッチ箱客車をバラエティー豊かに製作してまいりました。前回は優美さを誇る東野鉄道ハニフ1、ハ1を発売致しましたが今度は見方によっては全然美しくない、しかしそのホンワカとしたユーモア度ではNO.1の銚子ハフ1、ハフ2です。当店では日車マッチ箱客車を製作発売した時より6年越しの企画ですが遂に実現する事となりました。一見単純なプロトタイプですが車体、下廻りとバランスの取り方がデリケートで大変難しく一歩間違うと品のないフリーランスモデルか、気の抜けたタダの箱と化してしまいます。全体から細部に至るまで正確な図面の作成と模型化があって初めて得も云えぬホンワカしたムードが立ち表われてきます。ハフ1、ハフ2とでは窓枠形状、テールライト位置等の違いを作り分け。ニセ・スティール・カー故の客ドアの引っ込み具合等も雰囲気豊かに再現、小さな車体にも重さを持たせています。下廻りの台枠、ブレーキ・システム等はフル・スーパーディテールで松葉スポーク車輪と共にそのシルエットに詩情を感じて頂けるものと存じます。室内もロングシート、ハンドブレーキ、吊り革から床下のスジ目まで忠実に再現、小レイアウトでのスケール走行に対応しております。塗装は1950年代後半より1973年頃までの青みがかったグレーとライト・ブルーの旧塗色、最末期のベージュとローズの新塗色と二つの時代を再現致しました。もちろんフル・レタリングで決めておりますが実車共々車紋が入っておりませんので当店既発売の秋田中央デワ、羽後交通デハとの組み合わせが模型的にもベストマッチングです。将来的にはデハ201、デハ101の製品化を目指しております。 ※ケーディーカプラー#38を別途お買い求め下さい。

シリーズ "Idyll" 〜 田園の唄 キハ07シリーズ 
日本各地に残る07一族を全て完全取材。以前発売された江若キニの出来をはるかに上まわるスーパーモデル。乞ご期待。